尿がまったく出ない

尿は腎臓で造られ膀胱まで運ばれる

 腎臓で造られた尿は腎盂(じんう)、尿管を通り膀胱に達し【図1】、その量が一定以上になるとおしっこがしたい感じがして、尿を出す(排尿)ということになります。

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尿がまったく出ない状態と原因:その1

 尿がまったく出ないという原因は2つ考えられます。一つは、腎臓で正常に造られた尿が膀胱まで運ばれ貯まってはいるが、排尿しようと思っても出てこない、という状態です。
 これは「尿閉(にょうへい)」とも呼ばれ、通常、「尿がまったく出ない」というとこの状態を指します。排尿の時には、膀胱が収縮し膀胱の出口が開くことが必要です【図2-1】。しかし、何らの原因で膀胱の出口が十分に開かなければ、膀胱は収縮しているにもかかわらず尿が出ないという状態になります【図2-2】。また、膀胱の働きをコントロールしている神経に障害がある場合には、その障害の場所と程度によっては、膀胱の収縮が不十分になり尿が出ないということが時に起こります。このような病気を神経因性膀胱といいます。
 いずれの場合にも、まったく尿が出なければ尿閉ということになります。膀胱の出口より外側の前立腺、尿道に尿の流れをさまたげる状況があれば尿閉の原因となりますが、ほとんどの場合の原因は前立腺肥大症です。したがって、尿閉が出現するのは原則として男性に多いということになります。肥大した前立腺が膀胱の出口をふさいでしまうことが原因の大部分です。前立腺が大きい人の方が尿閉になりやすい傾向があります。長時間の座位、飲酒、時には咳止め薬、などが誘因になることがあります。
  前立腺肥大症では、尿が出にくい、尿の勢いが弱い、などの症状を改善するとともに、この尿閉を予防することが治療の目的となります。適切な治療法、治療期間にもかかわらず尿閉が繰り返されるときには、肥大した前立腺の程度によっては手術が必要となります。
  前立腺癌が進行した時にもこのような状態になることがありますが、最近は早期に見つかることが多いことと、適切な治療が行われることなどでほとんど見られません。
  膀胱の働きを調整している神経が障害されて尿閉になる場合としては、直腸がんや子宮がんの手術の後の状態があります。したがって、このような時には、男性も女性も尿閉になることがあります。がんの広がりによっては神経の働きを残すこともできるため、多くの患者さんでは尿閉になることは少ないといえます。

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尿がまったく出ない状態と原因:その2

 「尿がまったく出ない」という原因の二つ目は、腎臓の機能低下のために尿が造られなくなり、膀胱に貯まる尿が少なくなることです。これは、腎不全と呼ばれる状態です。このような状態になる前に腎臓の機能低下の症状や所見が出てきますので、急にこのようなことになることはありません。「尿がまったく出ない」ことの原因になることは実際には非常に少ないといえます。

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