尿が残っている感じがある ~残尿感~

残尿感とは?

残尿感とは、おしっこをした(排尿)後も、「尿が出きっていない感じ」、「尿が残っている感じ」があるという症状です。実際に尿が残っていることもありますし、尿が残っていないのに残尿感を感じることもあります。

残尿感がでてくる病気は?

排尿後に残尿がある場合には、男性における前立腺肥大症のように、膀胱から尿道出口までの通過障害が考えられます。また、排尿時に膀胱がうまく収縮できない(膀胱収縮障害)場合にも、完全に膀胱の尿を排出できず、排尿後に残尿が発生します。詳しくは本ホームページ症状一覧の「尿が出にくい・尿の勢いが弱い・尿をするのにお腹に力を入れる」をご参照ください。

残尿がないのに残尿感を感じる場合は、膀胱や尿道の知覚異常が原因となります。知覚異常による残尿感は炎症にともなって出てくる場合と、炎症がはっきりしないのに出てくる場合とがあります。前者の典型例は女性の膀胱炎です。この場合には排尿時の痛み、尿が近い、などの症状とともに残尿感が出てくることがありますが、適切な抗菌薬による治療で数日以内に症状がなくなります。男性では慢性前立腺炎でよくみられる症状ですが、以下で述べるように炎症が明らかでなくとも出てくる症状です。

炎症が明らかではないにもかかわらず、残尿感が症状として出てくる代表的な病気には男性では慢性前立腺炎があります。慢性前立腺炎の残尿感は、前述のようにはっきりとした炎症があって出てくることもありますが、むしろ炎症がはっきりしないにもかかわらず症状として出てくることに特徴があります。多くの場合には、尿が近い(頻尿)、下腹部あるいは会陰部の不快感をともなっています。慢性前立腺炎は30-50歳代の人に見られる病気です。普通は原因が明らかではありません。というようより、原因が多彩でそれを明らかにすることが難しいといったほうが適切です。一般には、抗菌薬、抗炎症薬などで治療します。残尿感などの症状がスッキリ取れるまでには時間がかかります。

一方、女性でははっきりとした炎症がないもかかわらず、残尿感が症状としてでてくることは珍しくありません。しかし、原因となっている病気を見つけ出すことが非常に困難なことが多いのも事実です。間質性膀胱炎、過活動膀胱と呼ばれるような病気が、経過の中で発見されることもありますが、例外的です。更年期の症状の一つとして出てくることもあります。症状が続くようであれば泌尿器科専門医を受診するとよいと思いますが、残尿感のみの場合であれば、この症状が良くなったり悪くなったりしながら最終的にはなくなってしまうというのが大部分ですので、過度に神経質にならない方がよいと思います。