パートナーがなかなか妊娠しない

WHO(世界保健機関)の基準によれば、「通常の性生活にもかかわらず2年以内に妻が妊娠しない場合」を不妊症といいます。


精液検査を受けてみましょう

 きちんと膣内(ちつない)に射精できているのに妻が妊娠しない!? あなたはパートナーだけに原因があると思っていませんか? 妊娠・出産はカップルで考える問題です。約半数は男性側にも原因があるとされ、その半分は主に男性側の原因とされています。パートナーだけでなく、男性もまず精液検査を受けてみましょう。


精子が少ない、動きが悪い

 自宅で精液を採取し妻がクリニックに持参して精液検査を行っていることが多くみられます。採取から検査まで時間がかかると運動率に影響がでてしまいます。クリニックに専用の採取室があれば、そこで採取して検査を受けるのが理想的です。男性不妊症は原因不明のことが多く、精液検査に何らかの異常があっても1/2~2/3は原因がはっきりしません。

<精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)>

 最も頻度の高い原因とされています。男性不妊症の20%前後に認めるといわれています。精巣(せいそう)静脈の逆流によって陰嚢(いんのう)内の静脈が腫れ上がり、高度の場合は立位で容易にわかります(図1)。多くは左側に発生しますが、右精巣静脈が下大静脈に流入するのに対して、左精巣静脈は左腎静脈に流入するという違いによるものです。パートナーが比較的若く、逆流が高度の場合は手術治療を検討します。最近では顕微鏡下に手術を行う施設が増えています。専門外来のある病院で相談してみると良いでしょう。

左精巣静脈瘤

図1

精子が見つからない

 男性不妊症の精液検査では、10人に1人くらいで精液に精子が認められず、無精子症と診断されます。

<閉塞性無精子症>
 精巣でつくられた精子は、精巣上体→精管(せいかん)→射精管(しゃせいかん)を通って尿道内に出てきます。この精子と精囊(せいのう)・前立腺でつくられた液が一緒になって射精されます。精巣で精子をつくっていても、精子の通り道がどこかでふさがっている場合、射出された精液に精子が含まれません。これを閉塞性無精子症といいます(図2)。閉塞部位が短く手術でつなぎ合わせることができれば、精液に精子が出るようになり、自然妊娠も期待できます。先天性の精管欠損など、閉塞部位が長い場合は手術では治療できません。この場合は精巣から直接精子を採取し、顕微鏡下に受精を行う顕微授精を行うことにより妊娠・出産が期待できます。

閉塞性無精子症の仕組み

図2

 

<非閉塞性無精子症>
 精巣で精子をつくっていないために無精子症となるものを非閉塞性無精子症といいます。 X染色体が1本多い(無精子症の約10人に1人に認められ、クラインフェルター症候群といいます)、Y染色体の一部が切れて失われている(欠失)、小さい頃、停留精巣などのように原因がわかる場合もありますが、半数以上は原因不明です。血液中のFSH(卵胞[らんぽう]刺激ホルモン、男性では精子形成を刺激します)が高値となっている場合はこれを疑います。精巣は視床下部―下垂体―精巣系といわれる中でホルモンの刺激を受けテストステロンを分泌したり精子を作ったりします(図3)。下垂体の手術を受けたり、視床下部の機能が低下している場合は、逆にFSHが低下し精子が作られなくなってしまいます。FSHが低値の場合は、このホルモンを定期的に補充することによって精子がつくられるようになり、自然妊娠も期待できます。FSHが高値の場合は自然妊娠を期待するための有効な治療法はありませんが、精巣内の一部で精子をつくっている場合があります。顕微鏡手術によって良好な精細管(せいさいかん:精子を作っている管状の組織)を採取することができ、運動精子が見つかれば、顕微授精によって妊娠・出産も期待できます。原因によって異なりますが、精子が見つかる確率は20~50%程度とされています。
  精液に精子を認めない場合は、より専門的な知識を必要としますので、どの病院を受診すれば対応してもらえるか、担当の先生に相談すると良いでしょう。


視床下部―下垂体―精巣系の刺激の伝播

図3


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