査読者心得

2023年3月29日
日本泌尿器科学会 理事長 野々村 祝夫
編集委員長  三宅 秀明

日本泌尿器科学会編集委員会では、学術論文の編集作業を行う立場から、査読の重要性を鑑み、査読者心得を作成しました。会員の皆様が査読を依頼された際には、以下の心得を参照いただき、適切な査読を通して科学の進歩に貢献されることを切に希望します。

  • 医学雑誌の編集は、著者、編集長、編集委員および査読者による共同作業であり、査読者はその役割の重要性を認識する必要がある。
  • 査読は、科学に対するコミュニティの良心、善意に基づいて行われるべきものである。
  • 査読者は守秘義務を厳守して、公正な査読に努めるべきである。
  • 査読者は、論文の審査を故意に遅延させる、アイデアを盗用する等の不正行為は厳に慎まなければならない。
  • 止むを得ない理由により査読を辞退する際には代替候補者を推薦するのが望ましい。
  • 査読コメントは、論文全体に対する総評、論文の採否に関わる問題点に対する提言、小さな改訂を要する問題点の順に、出来るだけ建設的かつ具体的に記載すべきである。
  • 査読後の採否は、論文の質に基づき即時アクセプト、マイナーリバイス後の受理、受理の可能性のあるメジャーリバイス、即時リジェクトの4通りを基本に判断する。
  • 再査読に際して、初回査読では指摘しなかった点を新たに加えて批評することは、推奨されない。
  • 結果が一般的に予想されるものと異なっても、方法、結果の解析および解釈が適切であれば、リジェクトすべきではない。
  • 査読中に不正行為に遭遇した場合にはその旨を編集者に伝え、原則としてその後の対応に査読者が関わる必要は無い。
  • 査読に際してCOIの問題があると判断した場合には、編集者にその旨を伝えること、COIのある論文はその点を考慮した査読を行うことが重要である。
  • 査読を依頼されるのは、当該領域の第一人者の一人として評価されているからこそであり、査読は科学の成果発信に直接関わりえる貴重な機会である。また、真摯な姿勢で査読を行えば、自らの論文執筆に関わるスキルの向上に資することは明白である。これらの点を踏まえて、可能な限り査読は引き受けるべきである。