腎臓売買事件に対する共同声明

腎臓売買の事件に対する五学会共同声明

2011年10月10日

臓器売買による臓器移植は法的にも倫理的にも決して許されないことであり、このたびの腎臓売買による腎臓移植が実施されたことはまことに遺憾であります。腎臓売買による腎臓移植は同一施設において2005年にも実施されており、報道によれば、移植を希望する患者が、違法行為を隠蔽する目的で養子縁組を行い、また暴力団に仲介を依頼するなど、計画的かつ組織的であり、きわめて悪質な事件と言わざるをえません。

臓器移植は臓器の提供を前提とする医療であり、臓器の提供には社会の理解と移植医療に対する信頼が不可欠であります。このたびの腎臓売買による腎臓移植は、移植医療に対する社会の信頼を失わせかねないものであり、きわめて深刻な事態であると認識しております。

移植医療には高い倫理性が求められ、すべての移植医療に携わる者は、学会員であるか否かにかかわらず、このことを強く自覚し、国内外を問わず非倫理的あるいは違法な移植、あるいはその疑いのある移植に絶対に関わらないことが求められます。またこのような移植の依頼に対しては、医師個人としてではなく病院全体として対応することが肝要です。

このたびの腎臓売買による腎臓移植の真相が解明され、厳正な対応がなされることを強く望みます。このことがこのような事件の再発の防止にとって不可欠と考えます。このような非倫理的かつ違法な移植の根絶に向けて、あらゆる方策をもって全力を尽くす所存です。

日本移植学会
日本腎臓学会
日本透析医学会
日本泌尿器科学会
日本臨床腎移植学会