米国PSTFの勧告に対する見解

米国予防医学作業部会からの勧告に対する見解~2回目~

2012年2月9日

 2011年10月7日付けで、米国予防医学作業部会(US Preventive Services Task Force:USPSTF)より、前立腺特異抗原(Prostate specific antigen:PSA)を用いた前立腺癌検診に関する勧告(Recommendation)(案)が出されました。

 この部会は、PSA検診による利益(前立腺癌死亡の低下)は曖昧であり、一方PSA検診による不利益(過剰な検査や治療による有害事象)は明確であるとし、米国においては、前立腺癌を疑わせる症状のない男性を対象としたPSAを用いた前立腺癌検診は、年齢を問わずこれを行わないように勧めています(D recommendation)。

 本勧告(案)に対し、日本泌尿器科学会はPSA検診に携わる本学会会員、ならびに疫学研究の専門家による会議を開催して検討しました。それを踏まえたUSPSTFの勧告案に対する日本泌尿器科学会の見解は以下の通りです。

 なお、「前立腺癌を疑わせる症状のある男性に対するPSA検査」についてはUSPSTFの勧告(案)は議論の対象としていません。この場合のPSA検査は推奨することを、誤解のないよう念のために申し添えます。

USPSTFの勧告(案)を今のわが国に適用することは適切でない。その理由は、1)勧告案の分析がPSA検診の利益を過小に評価している、2)米国とわが国の前立腺癌診療の実態が大きく異なる、からである。わが国のPSA検診に関しては、住民検診・人間ドックなどによる現状の検診形態が妥当である。PSA検診の利益を最大化し不利益を最小化するために、前立腺癌に関する情報提供、診断精度の向上、個々の患者の治療の最適化などに対して、体系的な取り組みが必要である。

社団法人 日本泌尿器科学会


米国予防医学作業部会からの勧告に対する見解~1回目~

2011年10月17日

2011年10月7日付けで、米国予防医学作業部会(US Preventive Services Task Force)より前立腺癌検診に関する勧告(Recommendation)(案)が出されました。

この勧告は疫学・公衆衛生学の専門家によって作成されたもので、それによると、米国において前立腺癌を疑わせる症状のない男性を対象としたPSA(Prostate specific antigen:前立腺特異抗原)を用いた前立腺癌検診は、年齢を問わずこれを行わないように勧めています。

一方、アメリカ泌尿器科学会(American Urological Association) やアメリカ癌学会(American Cancer Society)は、今回の勧告とは意見を異にしております。また、米国と我が国とでは医療環境を含む社会的背景が大きく異なっております。従って、この勧告を単純に我が国に適用することは、適切ではないと思われます。

本学会は前立腺癌の医療に深く関与しており、この勧告に関しては、その内容を吟味して慎重に検討を行う予定でおります。


社団法人 日本泌尿器科学会

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