副腎腫瘍で手術を勧められた

副腎腫瘍には、分泌される各種ホルモンを過剰に産生するものがあり特徴的な症状が出現します。ホルモンが過剰に分泌される機能性副腎腫瘍とホルモン分泌過剰がない非機能性副腎腫瘍に大別されます。

手術適応について

主に機能性副腎腫瘍、悪性腫瘍および悪性腫瘍が否定できない場合が手術適応です。機能性腫瘍ではホルモン過剰による障害(高血圧、耐糖能障害、脂質代謝障害など)を改善するために手術が必要です。内科的治療もありますが、内服継続が必要となること、長期的には薬が効かなくなる可能性や多臓器に悪影響を及ぼすことがあるので、手術で摘出することが望ましいです。また、非機能性腫瘍であっても腫瘍径4~6cm以上の場合、各種ホルモン検査および画像検査で悪性腫瘍を正確に診断することが困難であり悪性腫瘍の否定ができない場合なども適応となります。

手術方法について

腹腔鏡手術が第一選択として推奨され、多くの施設で実施されています。また、腹腔鏡手術以外の鏡視下手術(後腹膜鏡下手術、ミニマム創手術、単孔式腹腔鏡手術)は開腹手術に比べて低侵襲であり、取り組む施設も増えています。近年、比較的大きな腫瘍でも腹腔鏡手術が可能となってきており、腫瘍径の上限については特に基準はありません。しかし、一般的に腫瘍径が大きくなれば悪性腫瘍の可能性が否定できないだけでなく、手術の難易度があがることも知っておいてください。腹腔鏡手術の術中および術後合併症を含む周術期合併症の発生率は8.4%(術中合併症:出血1.8%、術後合併症:呼吸器系合併症2.8%)程度です。

副腎部分切除術と全摘除術について

原発性アルドステロン症に対する腹腔鏡下副腎部分切除術の長期の手術成績(血圧改善、カリウム補充離脱など)は全摘除術と同等であるという報告もありますが、やはり手術後に高血圧や高アルドステロン血症が持続することや、全摘除された副腎内に微小腺腫が多く残存していることも少なくありません(13.9%~27.0%)。腫瘍径だけでなく、血管造影検査により術前に腫瘍の位置を正確に把握される際には、副腎部分切除が選択されることもありますが、まだ一般的とは言えないのが現状です。

画像検査で指摘されるいわゆる偶発性副腎腫瘍の場合は、併存疾患を含め、機能性腫瘍か否かをきちんと専門医による診断を受けてください。機能性腫瘍は腫瘍径が小さくても手術治療が必要です。難易度の高い大きな腫瘍、悪性または悪性腫瘍が疑われる腫瘍に対しては、より経験豊富な術者によって行われることが望ましいです。

各施設で行われている手術方法について利点と欠点について十分に説明を受けてから手術方法を選択することをお勧めします。主治医と十分に話し合い治療に臨んでください。